2019年度センター試験の内容分析と二次・私大入試に向けて

2019年1月24日

1.「砂上の楼閣」では何も生まれない。新入試の形式を意識しながらも、難問ではない、基本的な力を問う問題が多く見られる。

「砂上の楼閣」とは、見かけは立派であるが、基礎がしっかりしていない為に長く維持できない物事の例えです。砂の上に建てられた高層の建物は基礎がしっかりしていないために崩れてしまうように、基礎がしっかりしていないと全ては実現不可能になってしまいます。

 現在の高1生から幕を開ける「大学入学共通テスト」では「思考力・応用力・表現力」を計るため、記述式の問題や様々な資料を読み取り分析する問題など、高度な問題が多く出題されるとみられます。そのため、大学入学共通テストに対応し得る応用力を身につけようと、各学校や塾で様々な試みがなされていると思われます。もちろん、新入試に対応する応用力を身につけることは極めて重要です。ですが、新入試を意識しすぎるあまり、「基礎の大切さ」を忘れてしまっているケースも少なくはないと思います。

 大学入学共通テストを再来年に控え、今年度のセンター試験でも、英語大問3-B の問題のように相手の話を理解しまとめるプレゼン能力が試される問題が出題されたり、数学ⅠAの大問2-〔2〕で「ソメイヨシノの開花日」のデータを題材にした、日常生活と密接した事象を取り扱う問題など、新入試を意識した問題がいくつも見られました。ですが、新入試の形式を意識しながらも、難問ではない、基本的な力を問う問題が今年度は目立ちました。

 英語は昨年に比べ文法・読解の双方とも基本的な内容が多く、極度に難しい問題は見られませんでした。特に大問5は意外な結末となるSF的内容から従来のオーソドックスな物語文の読解となり、基本的な読解能力が問われました。昨年の傾向と大きく変化していませんので、過去問や模試を何度も繰り返し反復して各大問の解き方と時間配分を確立できていれば、実力を十分に発揮できたのではないでしょうか。
 数学は必修分野となる数学Ⅰと数学Ⅱが基本的な問題が多く、特に数学Ⅱは内容・計算量共に解きやすく、教科書内容をしっかり定着させていれば完答も可能な内容だったと感じられます。数学Aと数学Bに関しては昨年よりも難しい問題がみられましたが、各大問とも前半部分は基本的なレベルで構成されていましたので、配点の半分以上は十分に得点できる内容でした。
例として、数学ⅡBの大問3「数列」は後半の漸化式が煩雑で二次レベルとも感じられましたが、前半部分に関しては階差数列から一般項を求める公式を利用した問題など、どの教科書にも例題で掲載されている内容でした。

 「思考力・応用力・表現力」が問われる大学入学共通テストを2年後に控えている中、今回のセンター試験では「基本を重視した問題」が多く見られたと感じられます。新試験に向け様々な取り組みがなされていますが、全ての根源にあるのは「基礎力」です。「思考力」「応用力」「表現力」のいずれも、基礎なしに確立することはできません。スポーツにおいても強豪チームや有名な選手ほど基礎トレーニングを毎日欠かさず積み重ねています。新試験へ移行するこの時期だからこそ基礎が大切になるのだということを、今回のセンター試験を分析して感じています。

2.大学入試はセンター試験だけでは決まらない。早く気持ちを切り替えて、次のために動き出すことが重要!

今回のセンター試験は基本的な内容が多く見られましたが、体調や緊張、時間配分などが要因で、思うように点数が伸びなかった生徒さんもいらっしゃると思います。センターの結果が思わしくなく、それが気になって二次対策の勉強に手がつかない生徒さんも多いと思います。ですが、センターリサーチの判定が悪くても、二次試験で逆転合格している先輩はたくさんいます。

私の高校の先輩ですが、センターリサーチでE判定となり出願を諦めかけましたが、出願しなければ合格は120%あり得ないため、恐れを勇気に変えて出願し、二次試験までの1ヶ月は全力で励み、見事に合格を勝ち取った実例があります。また、教え子の生徒さんで志望校の前期入試に失敗してしまいましたが、最後まであきらめず徹底抗戦し、同じ大学の同じ学部・学科に後期入試で合格した実例もあります。

 逆の見方をすると、たとえセンターリサーチでA判定となっていても、二次試験で逆転されてしまうことが十分にあり得ます。判定が良かった生徒さんは自信をもって、でも自信が慢心とならないよう、引き続き次の対策に向かってください。判定が思わしくなかった生徒さんは、二次試験での可能性がまだ残されていますので、一刻も早く次の準備を開始し、奇跡を信じて周りの何倍も努力することです。行動なくして奇跡は起こりえません。

 また私大入試に関してですが、私大入試は大学によって傾向が様々であり、各受験校の傾向をしっかり見極めることが重要となります。例として、私大入試はマークシート方式のイメージが強いですが、青山学院大学文学部の英語では英文和訳や英作文など記述式の問題が多く出題されています。私大入試では、特に併願校が多い場合は、過去問を解かずに受験本番を迎えてしまう学校もあるかもしれませんが、併願校も含め必ず過去問研究を行い、問題傾向や時間配分をしっかり分析するようにしましょう。

松永慎吾

【松永慎吾 プロフィール】
函館ラ・サール高校、大阪大学外国語学部卒。
秋田の学習塾イデアグループ指導監理官就任。秋田中央高校にて「小論文テクニック講座」や能代松陽高校にて「大学進路講演」など高校講演実績多数。ABSパイセンでは「チャーティー」ABSタマリバでは「ラ・サール伯爵」としてラジオ番組に出演中。

 

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